アサーションはじめの一歩

アサーションで「頼りがいがない」から卒業:期待に応えつつ自分の限界を伝える方法

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「頼み事を断れない」「ついつい全部引き受けてしまう」

このような傾向がある方は、周囲から「頼りがいがある」と思われたいという気持ちや、「もし断ったら、期待に応えられない人だと思われてしまうのではないか」「評価が下がってしまうのではないか」という不安を抱えていることが多いかもしれません。

しかし、すべてを引き受けてしまうことは、結果として自分が疲弊し、パフォーマンスが低下したり、納期を守れなくなったりすることにも繋がりかねません。これは決して「頼りがいがある」状態とは言えません。

アサーションを学ぶことは、「NO」と言うことだけではなく、自分と相手、双方を大切にしながら、適切にコミュニケーションをとるための技術です。そして、このアサーションこそが、真の意味で周囲から「頼りがいがある」と思われる自分になるための鍵となるのです。

今回は、アサーションの考え方を取り入れ、「期待に応えつつ、しかし無理なく、自分の限界を適切に伝える」方法について解説します。

なぜ、「全部引き受けてしまう」のか

私たちは、なぜ来た依頼や頼み事を「はい」と引き受けてしまいがちなのでしょうか。その背景には、いくつかの理由が考えられます。

これらの気持ちは自然なものであり、決して悪いことではありません。しかし、それが度を超すと、自分自身の時間やエネルギーが奪われ、心身の負担となってしまいます。

「頼りがいがある」とは、すべてを引き受けることではない

では、「頼りがいがある」とは、どのような状態を指すのでしょうか。

それは、単に多くの依頼を引き受けることではありません。真の「頼りがい」とは、以下の要素を含んでいると考えられます。

アサーションは、まさにこの「自分の状況を把握し、適切に判断し、コミュニケーションを通じて調整する」能力を高めるためのものです。アサーションを実践することで、あなたは無理な依頼に「NO」と言うだけでなく、期待に応えるための建設的な対話ができるようになります。

期待に応えつつ自分の限界を伝えるアサーションの実践方法

ここでは、具体的なシチュエーションを想定しながら、期待に応えつつ自分の限界を伝えるアサーションのステップとフレーズ例をご紹介します。

ステップ1:依頼内容と自分の状況を正確に把握する

依頼を受けた際、すぐに返答する前に、以下の点を冷静に確認しましょう。

すぐに判断が難しい場合は、「少し考えさせていただけますか」「関連する資料を確認してからお返事します」のように、返答を保留するアサーションを活用しましょう。

ステップ2:相手の状況や意図への理解を示す

いきなり断るのではなく、まずは相手がなぜその依頼をしているのか、どのような状況にあるのかに理解を示す言葉を添えると、相手も感情的になりにくく、耳を傾けやすくなります。

ステップ3:自分の状況と限界を正直かつ具体的に伝える

感情論ではなく、事実に基づいて自分の状況を伝えます。理由を明確にすることで、単なる拒否ではなく、やむを得ない状況であることを理解してもらえます。

ステップ4:代替案を提示する、あるいは調整案を提案する

単に「できません」と断るだけでなく、可能な範囲での協力や、他の解決策を提案することで、期待に応えようとする姿勢を示すことができます。これが「頼りがい」を感じさせる重要なポイントです。

具体的なフレーズ例(シチュエーション別)

「頼りがいがない」と思われないための重要なポイント

アサーションで自分の限界を伝える際に、「頼りがいがない」という印象を与えないためには、以下の点を心がけることが重要です。

アサーションで「頼りがいがある」私になる最初の一歩

アサーションの実践は、決して難しいことではありません。「頼りがいがない」という不安を手放し、真の意味で頼られる存在になるための最初の一歩を踏み出しましょう。

  1. 小さな依頼から試す: いきなり重要な依頼で試すのではなく、比較的小さな、影響の少ない頼み事から、今回紹介したステップやフレーズを意識して伝えてみましょう。
  2. 「考える時間をもらう」練習をする: 即答せず、「少し考えさせてください」と伝える練習をすることから始めましょう。これは、自分の状況を把握し、冷静に判断するための重要なスキルです。
  3. 代替案を一つ用意する: 何かを断る際に、「完全に無理です」ではなく、「もし〇〇でしたら可能です」という代替案を一つ用意する習慣をつけましょう。
  4. 練習で自分を責めない: 最初は上手くいかないこともあるかもしれません。しかし、練習することが重要です。結果に関わらず、一歩踏み出した自分を認めましょう。

アサーションは、すべてを引き受けることで自分を犠牲にするのではなく、自分も相手も大切にしながら、最大限の貢献をするための技術です。この技術を身につけることで、あなたは無理なく、しかし着実に周囲からの信頼と「頼りがいがある」という評価を得られるようになるでしょう。