アサーションはじめの一歩

無理なく始めるアサーション:日常生活での小さなYES/NOの伝え方

Tags: アサーション, 初心者, 実践方法, 断り方, 自己肯定感

あなたはもしかしたら、職場やプライベートで頼まれごとを断れず、引き受けては後で後悔したり、自分の意見を言うのが苦手で、言いたいことを飲み込んでしまったりすることが多いのではないでしょうか。場の空気を読みすぎてしまい、ぐったり疲れてしまうこともあるかもしれません。

「アサーションが良いらしい」と耳にしたことはあっても、いざ実践しようと思うと、「いきなりNOと言うのは怖い」「相手に嫌われたらどうしよう」「どうやって伝えたら角が立たないのだろう」と、なかなか最初の一歩が踏み出せないかもしれません。

大きな変化を求められると億劫に感じてしまうものですが、アサーションは何も、劇的に自分を変える必要はありません。まずは、日常生活の小さな場面で、無理なく実践できることから始めてみるのがおすすめです。この記事では、アサーション初心者の方が、今日からできる「小さなアサーション」の実践方法をご紹介します。

アサーションとは何か? 簡単におさらい

アサーションとは、「自分も相手も大切にした自己表現」のことです。自分の意見や気持ち、要求を正直に、率直に、そして相手を尊重しながら伝えるコミュニケーションの方法です。

アサーションというと、「NOとはっきり言うこと」だと捉えられがちですが、それはアサーションの一側面です。アサーションには、自分の要望を伝えたり、相手に感謝を伝えたり、同意や反対を表明したりすることも含まれます。重要なのは、相手を攻撃したり、あるいは自分を犠牲にしたりすることなく、誠実に自分自身を表現する点です。

なぜ「小さなアサーション」から始めるのが良いのか

「NOと言えない」悩みを抱えている方が、いきなり重要な場面でアサーションを実践しようとすると、大きなプレッシャーを感じてしまい、かえって挫折につながりやすいものです。

そこで有効なのが、「小さなアサーション」から始めるというアプローチです。

  1. 心理的なハードルが低い: 日常生活のささいな場面であれば、失敗しても影響が少ないと感じられ、試してみる抵抗感が和らぎます。
  2. 成功体験を積み重ねやすい: 小さなことでも、自分の気持ちを伝えられた、あるいは適切に断れたという成功体験は、自信につながります。この小さな成功体験が、次のステップへの意欲を高めてくれます。
  3. 習慣化しやすい: 毎日の中にアサーションを取り入れることで、特別なことではなく、自然なコミュニケーションスキルとして身についていきます。

日常生活での「小さなアサーション」具体例と伝え方

では、具体的にどのような場面で「小さなアサーション」を実践できるでしょうか。いくつかの例と、具体的な伝え方をご紹介します。

例1:職場での簡単な依頼や雑談

例2:友人からの誘い

例3:お店やサービスの利用時

小さなアサーションを実践するためのステップ

  1. 「小さなアサーション」の機会を見つける: まずは、日常生活の中で「これは小さなアサーションを試せるかもしれない」と感じる場面を意識してみましょう。例えば、「コンビニのレジでお釣りの確認をする」「エレベーターで『開』ボタンを押しておくように頼まれたら、状況によって判断する」「家族に今日の夕食のリクエストをしてみる」など、本当にささいなことから始められます。

  2. 「自分は何を感じているか、何を求めているか」に気づく: その場面で、自分が「こうしたい」「こうしてほしい」「これは難しい」など、どう感じているのか、何を求めているのかを素直に認識してみましょう。アサーションは、まず自分自身の内面に耳を傾けることから始まります。

  3. 簡単な言葉で伝えてみる: いきなり完璧なフレーズを使おうとせず、まずは「〇〇したいです」「△△は難しいです」のように、主語を「自分」にして、シンプルに伝えてみましょう。

  4. 練習する: 実際にその場で伝えるのが難しければ、まずは心の中で練習したり、信頼できる家族や友人を相手に練習したりするのも効果的です。

  5. 結果を気にしすぎない: 最初はうまくいかないこともあるかもしれません。しかし、大切なのは「伝えてみた」という行動を起こしたことです。結果に完璧を求めず、試してみた自分を認めましょう。

「NOと言うことへの不安」に寄り添う

「小さなNO」であっても、「相手に悪く思われたらどうしよう」「自分の評価が下がるかも」という不安はつきまとうものです。しかし、考えてみてください。

まずは、リスクの少ない小さな場面で、丁寧に、正直に伝える練習を重ねることで、「案外大丈夫だった」という経験が増えていきます。この経験が、大きな不安を和らげる一番の薬になります。

小さな一歩がもたらす変化

小さなアサーションを日常生活で実践していくことで、以下のような変化を感じられるでしょう。

まとめ:今日から、できることから

「NOと言えない」という長年の習慣を変えるのは、簡単なことではありません。だからこそ、まずは大きな目標を立てるのではなく、日常生活の中の、ごく小さな場面でアサーションを試してみることから始めてみましょう。

例えば、今日の夕食で「〇〇が食べたいな」と家族に言ってみる。職場で、すぐに返事できない依頼に「確認して後で連絡します」と答えてみる。これらは、誰にでもすぐにできる「小さなアサーション」です。

小さな一歩を踏み出す勇気が、あなたを少しずつ、自分らしいコミュニケーションへと導いてくれるはずです。焦らず、あなたのペースで、今日からできる「小さなアサーション」を見つけて実践してみてください。その小さな積み重ねが、きっと未来の大きな変化につながります。