アサーションはじめの一歩

なぜあなたは「NO」と言うのが苦手なのか?~アサーションで変わる、自分を守る最初の一歩

Tags: アサーション, 断り方, コミュニケーション, 人間関係, 自己肯定感

なぜあなたは「NO」と言うのが苦手なのか?~アサーションで変わる、自分を守る最初の一歩

あなたは、上司や同僚からの頼み事を断れず、ついつい引き受けてしまったり、自分の意見を正直に伝えるのが苦手で、場の空気に合わせてばかりいたりすることに、疲れていませんか。

「ここで断ったら、相手に嫌われるのではないか」 「わがままだと思われて、評価が下がるのではないか」 「波風を立てたくない」

そう考えてしまい、「NO」と言うべき場面で「YES」と答えてしまうことは、決して珍しいことではありません。しかし、それが積み重なると、自分の時間やエネルギーが奪われ、心身ともに大きな負担となってしまいます。

この記事では、なぜ私たちは「NO」と言うのが難しいのか、その理由を探りながら、自分も相手も大切にする自己表現の方法「アサーション」の基本と、今日から実践できる最初の一歩をご紹介します。

私たちが「NO」を言えない、いくつかの理由

私たちは、なぜ「NO」と言うことにこれほど抵抗を感じるのでしょうか。その背景には、いくつかの共通する心理や考え方があります。

これらの理由は、どれも決して間違った感情ではありません。私たちは社会的な生き物であり、他者との関係性を大切にするのは自然なことです。しかし、そのために自分自身の心や体を犠牲にしてしまうのであれば、それは健全な状態とは言えません。

ここで役立つ考え方が「アサーション」です。

自分も相手も大切にする自己表現「アサーション」とは

アサーションとは、「相手を尊重しつつ、自分の考えや感情、要求を正直かつ適切に表現すること」です。攻撃的に相手を非難したり、逆に自分の気持ちを押し殺して相手に言いなりになったりするのではなく、対等な立場でコミュニケーションを図ることを目指します。

「NO」と言うことは、ワガママでも、相手を否定することでもありません。それは、自分自身の心身の健康や、時間、価値観を大切にすることです。そして、それを相手に伝えることも、アサーションの重要な一部です。

アサーションを学ぶことで、あなたは以下のような変化を感じられるかもしれません。

では、具体的にどのように「NO」を伝えたら良いのでしょうか。

状況別:穏やかに「NO」を伝えるためのフレーズ例とポイント

具体的なシチュエーションを想定して、アサーションの考えに基づいた断り方のフレーズと、その際のポイントを見ていきましょう。重要なのは、単に「できません」「無理です」と突っぱねるのではなく、相手への配慮を示しつつ、なぜ引き受けられないのかを誠実に伝えることです。

1. 職場での依頼(上司や同僚から、急な頼み事)

これは多くの人が直面するシチュエーションではないでしょうか。特に上司からの依頼は断りにくいと感じるかもしれません。

フレーズ例:

ポイント:

2. 友人からの誘い(乗り気でない、都合が悪い)

「せっかく誘ってくれたのに悪いな」と感じてしまいがちです。

フレーズ例:

ポイント:

3. 家族からの頼み事(負担が大きい、自分の時間が欲しい)

身近な関係だからこそ、断りにくいこともあります。しかし、自分の時間や休息は非常に重要です。

フレーズ例:

ポイント:

「NO」を言うことへの不安を乗り越えるために

「NO」を伝えることに伴う「嫌われる」「評価が下がる」といった不安は、根深いものです。しかし、アサーションを実践することは、むしろ長期的な人間関係や自己評価の向上につながります。

アサーションの最初の一歩を踏み出すために

いきなり完璧なアサーションができるようになる必要はありません。「NO」を言う練習は、小さく始めるのがおすすめです。

  1. 自分の気持ちに気づく練習をする まず、「自分は今、どう感じているか」「この頼み事を引き受けることに抵抗はないか」「自分の時間やエネルギーは十分か」といった問いを自分自身に投げかけてみてください。自分の内側の声に耳を澄ませることから始めます。
  2. 簡単な「NO」から練習する 例えば、それほど重要でない誘いを断ってみる、コンビニのレジ袋を断ってみるなど、リスクの低い場面から練習してみましょう。断ることに慣れることが目的です。
  3. クッション言葉を使ってみる 「せっかくですが」「残念ながら」「申し訳ありませんが」といったクッション言葉を使う練習をします。これにより、いきなり本題に入るよりも柔らかい印象になります。
  4. 理由を簡潔に伝えてみる練習をする 「~なので」と、簡単な理由を付け加えて断る練習をします。全てを話す必要はありませんが、理由があることを示すことで、相手は納得しやすくなります。
  5. 「持ち帰って検討します」を試してみる 即答が難しい場合や、その場で断るのが難しいと感じる場合は、「すぐに判断ができないので、一度持ち帰って検討させていただいてもよろしいでしょうか」と伝えることで、時間を作ることができます。その間に、引き受けるかどうか、引き受けるとしたらどの範囲までか、断る場合はどう伝えるかを冷静に考えることができます。

まとめ:自分を大切にするコミュニケーションへ

「NO」と言うことが苦手なあなたが、最初の一歩を踏み出すためのヒントをお伝えしました。

なぜ自分が断れないのか、その理由を知ることから始め、アサーションという自分も相手も大切にするコミュニケーションの考え方を理解すること。そして、具体的なフレーズや、不安への対処法を知り、小さな練習から始めてみること。

「NO」と言う練習は、自分自身の心を守り、より健全な人間関係を築き、自分の人生を主体的に選択していくための大切なステップです。

この記事が、あなたが自分自身を大切にしながら、穏やかに、そして正直に「NO」を伝えるための一歩を踏み出す助けとなれば幸いです。